安心・安全への取り組み

あじ開き干しの製造工程

乾製品

乾製品は、原魚の処理や乾燥法により素干品、塩干品、煮干品、調味乾製品等に分類されますが、代表的なものに開き干し(塩干品)があります。開き干しは、開いた魚を塩水に漬けたり、塩をふりかけた後乾燥したものです。最近の開き干しは、水分の高い(60~80%)塩分の低い(2~3%)ものが主流となっています。原料はアジ、サバ、サンマ、イワシ、ホッケ、カマス、キンメダイ等が用いられますが、このうち、あじ開き干しは多くの産地で生産されております。
あじ開き干しの製造方法は、次のとおりです。

あじ開き干しの製造工程

  • 原料

原料のアジは、国産あるいは、オランダ、アイルランド等の外国産が使われています。
国産のアジは、水揚げ後直ちにバラ凍結し冷凍保管するケースが多いですが、外国産アジは漁獲後船内で凍結したもの(船凍品)が多くを占めています。国産品、外国産ともに鮮度は良好と言えるでしょう。
加工場での原料の検査には、購入先との契約にしたがって、総重量、大きさ、重さ、鮮度、きず、曲がり、包装の破れ、異物のチェックを行います。

  • 解凍

原料は鮮魚を用いることはごくわずかで、ほとんど冷凍原料が使われています。このため、解凍の良し悪しが後の製品に大きな影響を与えます。一般に行われている解凍方法は、工場内での自然解凍です。自然解凍は空気中で解凍することから空気解凍とも呼ばれております。前日の作業終了時にシートを敷き、その上にダンボールに入ったままの冷凍原料を出しておき、翌朝半解凍状態(中心温度-5℃前後)にまで戻す方法です。自然解凍は季節(気温)によって解凍時間が異なることから、気温の高い時期では、作業前の早朝に行います。このほか、水の入ったタンクに冷凍原料を入れ、流水で強制的に解凍する流水解凍があります。

使用する用水については水道法でいう飲用適の水(水道水または衛生的に水道水以上の水)を使います。井戸水については水道水の基準に沿って年に二回以上の食中毒菌や一般生菌数などの細菌検査、また化学検査を行い、安全性を確かめなければなりません。井戸水の殺菌には、次亜塩素酸ナトリウムを自動滴下装置などで末端(蛇口)の遊離残留塩素濃度が0.1ppm以上を保持することが必要です。また、貯め水には細菌の汚染や増殖、また化学物質の混入が懸念されるので特に注意が必要です。

 

  • 魚体処理

開きには腹開きと背開きがありますが、現在は腹開きが主流です。腹開きは小出刃包丁を用い、エラ、内臓を除去後腹開きにします。手作業(手開き)で行うところが多く、熟練者になれば1日1,000枚開くと言われています。このほか、機械(割裁機)を使い2枚に開いた後包丁でエラ、内臓を除去する(機械開き)ところもあります。

  • 水洗い

開いたアジをプラスチック篭に30枚ほど並べ、水洗いタンクに漬けた後、水圧式のジェットガンで付着した血液や内臓をきれいに洗い流します。最近では、品温を低温に保持し、細菌を増やさない観点からタンクの水の冷却(2~5℃)を行うところもあります。

  • 塩水漬け

水洗いの後、プラスチック篭に入った開きアジを塩水の入ったタンクに漬け込みます。通常、食塩濃度(18~20%)、漬け込み時間(15~20分)ですが、魚体のサイズ、脂の含有量により、漬け込み時間が調整されます。また、最近では衛生上塩水を冷却して漬け込む方法が増えてきています。

※食塩の受入時は、包装の破れなどをチェックします。食塩を保管する場合は、湿気の少ない乾燥した清潔な場所で保管する必要があります。

  • 水洗い

塩水漬けが終わった後、水切り後プラスチック篭に入った開きアジを洗浄タンクで洗浄します。洗浄タンクの水も衛生上冷却する場合が多くなっています。水洗いが終わるとプラスチック篭ごと水切り台に乗せ30分ほど水切りします。

  • 蒸篭(せいろ)並べ

網蒸篭の上に開きアジを並べます(腹側を上、背側を下)。網蒸篭は、サビなどの危害を防止する意味からも衛生的なステンレス製の使用が主流になってきています。

  • 乾燥

現在、屋外で干す天日乾燥より機械で乾燥する機械乾燥が主流となっています。蒸篭に乗せた開きアジを乾燥機にいれます。乾燥機は冷風乾燥機、冷風除湿乾燥機、温風乾燥機、遠赤外線乾燥機等が利用されています。冷風乾燥機の場合、20℃~30℃で約1時間乾燥させますが、魚体の大きさ、脂の含有量等により時間が調整されます。

  • 凍結

最近の開き干しは、水分が高く塩分が低いものが主流のため凍結します。約-40℃のエアーブラスト方式で急速凍結します。

  • 選別

冷蔵庫から取り出した後、蒸篭から外し魚体の大小あるいは不良品の除去を除去するため選別します。

  • 包装

包装形態には、トレーラップ、スチロール箱詰め、袋詰め等がありますが、この中で、最も生産量が多いのがトレー商品です。トレー製品では自動包装機を使う場合が多く、トレーに製品を乗せた後、シュリンクフィルムでラップがかけられ表示などのラベルが貼られます。包装の工程では、髪の毛等の異物が混入しないよう注意します。

  • 第二次調味

包装された製品は、一品一品金属探知機に通してチェックされます。

  • 箱詰め

金属探知機を通過した製品は、ダンボールや発砲スチロール等に入れられます。

あじ開き干しの表示例

出典:アジ開き干し加工場の衛生・品質管理(大日本水産会発行)

品名 あじ開き干し
原材料名 あじ(オランダ)、食塩
内容量 2枚入り
賞味期限 2005.3.31
保存方法 10℃以下
製造者 株式会社全水
住所・TEL

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