安心・安全への取り組み

塩タラコ、辛子明太子の製造工程

塩蔵品

食品の保存法のなかで塩漬けにして保存する方法を塩蔵とよびます。当方法による保存性の特徴として、浸透圧作用・水分活性の低下・塩素イオンによる微生物の殺菌効果・高濃度食塩液での酸素溶存量低下に伴う好気性菌の繁殖抑制などが挙げられます。
このような塩蔵法でスケトウダラの卵(卵巣)を塩蔵加工した製品を一般にタラコ(塩タラコ)と呼んでおります。またタラコ製品の一つとして塩タラコをトウガラシで調味した辛子明太子が良く知られております。塩タラコの製造工程は下記の通りとなります。

塩タラコの製造工程

  • 原料

原料のタラコは北海道近海で漁獲されるスケトウダラから採卵される生卵及びアメリカやロシアなどより輸入される冷凍卵が使用されます(一部国産の冷凍卵もあります)。
卵質はその熟度においてガム子(未熟)、真子(成熟)、目付(過熟)、水子(完熟)に分けられます。塩タラコ製造においては、真子を用いた物がもっとも品質がよいといわれております。
なお、ガム子は焼きタラコに、目付、水子は焼きタラコのほかにバラ子にも利用されます。
品質の良い塩タラコを製造するには卵の仕入れ・受入時に、鮮度が良好でキズのない真子を選ぶことが重要です。鮮度が低下すると胆汁による着色や卵嚢膜上の血管の浮きが多く見られるようになります

  • 解凍

-18℃以下で保管された冷凍卵の解凍は、室温約5℃に設定された解凍室で数時間かけて品温5℃前後になるようにします。また高温高湿の解凍装置を用いて解凍される場合もあります。二次汚染を防ぐ必要から、汚染物質が付着している可能性のある外装の箱やバンド・内装のポリエチレンシートなどを決められた容器に収容し、汚染の拡散を防ぐようにします。

  • 洗浄

粘液や血液などが付着した生卵または解凍卵をプラスティック篭にとり、低温(10~15℃)の用水または低温のボーメ3~4℃(約3%)の食塩水で洗浄します。この時、卵の締まりを良くするために有機酸(リンゴ酸ナトリウムまたはクエン酸ナトリウム)を用いることもあります。

使用する用水については水道法でいう飲用適の水(水道水または衛生的に水道水以上の水)を使います。井戸水については水道水の基準に沿って年に二回以上の食中毒菌や一般生菌数などの細菌検査、また化学検査を行い、安全性を確かめなければなりません。井戸水の殺菌には、次亜塩素酸ナトリウムを自動滴下装置などで末端(蛇口)の遊離残留塩素濃度が0.1ppm以上を保持することが必要です。また、貯め水には細菌の汚染や増殖、また化学物質の混入が懸念されるので特に注意が必要です。

 

  • 選別・水切り

洗浄卵の入ったプラスティック篭を水切り台上に静置し、その篭目を通して余分な水分を除きます。
このときの品温が高くなると細菌の増殖が速くなり、また卵の身締まりが悪くなるので室温(10℃以下)に注意し、卵品温の低温保持に注意する必要があります。

  • 塩漬け

着色料・酸化防止剤・発色剤を精度の高い計量器で計量し、用水にて十分に攪拌します。 発色剤は食品衛生法にて「イクラ、筋子及びタラコは、その1kgにつき亜硝酸根の 0.005gを越える量を含有するものであってはならない」とされております。
プラスティック製の樽に卵を20kg入れ、食塩・調味料及び前述した漬け込み液を加 えて塩漬けを行います。食塩及び漬け込み液は卵質によって加減します。
この後5~6時間、10~15℃前後の液温を保ちながら回転式漬け込み機若しくは人 の手(手返しと呼ぶ)で攪拌作業を行います。
攪拌終了後は樽ごと10~15℃の低温室にて数時間熟成させます。

食塩の受入時には包装の破れなどをチェックします。保管は、容器包装 などに入れ乾燥した清潔な場所を選ぶことが大切です。

 

  • 洗浄

熟成後の卵をプラスティック篭にとり低温のオーバーフローする用水で十分に洗浄し、速やかに整形工程に入ります。

  • 整形・水切り(熟成)

卵巣の表面に付いた黒皮等の夾雑物を取り除きながら形を整えます。そしてプラスティック篭に整列させた卵にポリエチレンシートをかぶせることにより表面乾燥を防ぎながら低温(10~15℃)で一昼夜、水切りを行います。この水切り時間は一種の熟成を伴っております。

  • 計量・選別

計量器と目視にてタラコの規格別に選別(卵質・サイズ・重量)を行います。

  • 計量・包装(金属探知器)

製品仕様書に従い所定の大小・卵質・重量を計量し、吸水シートを敷いた樽・木箱・紙箱・トレーなどの容器に計量し、手詰め若しくは自動包装機にて包装を行います。この時金属探知器を用いて金属の検出を行います。

塩タラコの表示例

品名 塩タラコ
原材料名 スケトウダラの卵、食塩、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ソルビット)、酸化防止剤(ビタミンC)、ナイアミン、発色剤(亜硝酸Na)、着色料(赤102,黄5)
内容量 330g
賞味期限 裏面に記載
保存方法 10℃以下
製造者 株式会社全水

辛子明太子の製造工程

1. 原料~8. 計量・選別は【塩タラコ】と同様です。

  • 辛子調味漬け

粉末唐辛子(またはそのエキス)・酒類他各種調味料を調合し、辛子調味液を調整します。明太子製造において亜硝酸ナトリウムは添加してはならないことになっております(原料である塩タラコへの添加は認められております)。ポリエチレン袋またはバットに一定量の塩タラコと辛子調味液を入れて密封し、2~5℃の低温室で2日間以上(メーカーによって異なります)漬け込み、調味液の卵への浸透と熟成を行います。

  • 液切り

プラスティック篭に重ならないように並べ、10℃で数時間液切りを行います。

  • 整形

液切り終了後、手作業で辛子明太子の一腹あるいは片腹を選別し、同じ方向に整列しながら形を整えます。

  • 選別・計量

整形後の辛子明太子を目視と計量器で規格別に選別(卵質・サイズ・重量)を行い粉末唐辛子(粗挽き)を製品表面にまんべんなく振りかけます。

  • 計量・包装(金属探知器)

製品仕様書に従い所定の大小・卵質・重量を計量し、吸水シートを敷いた樽・木箱・紙箱・トレーなどの容器に計量し、手詰め若しくは自動包装機にて包装を行います。この時金属探知器を用いて金属の検出を行います。

  • 保管・出荷

冷蔵出荷の場合は10℃以下の冷蔵庫、冷凍出荷の場合は-18℃以下の冷凍庫にて保管を行うようにします。最近では製品品温の低温保持が衛生上不可欠のことから、冷凍保管の割合が多くなっています。なお、衛生上の観点から原料の保管と製品の保管を同一の場所では行わないようにします。

辛子明太子の表示例

出典:塩たらこ・辛子明太子加工場の品質・衛生管理

品名 辛子明太子
原材料名 スケトウダラの卵、食塩、酒精、発酵調味料、唐辛子、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ソルビトール)、酸化防止剤(ビタミンC)、ナイアミン、発色剤(亜硝酸Na),
(原材料の一部に小麦、大豆、ゼラチンを含む)
内容量 330g
賞味期限 裏面に記載
保存方法 10℃以下
製造者 株式会社全水

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